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弁護士ブログ-「縁の下の力持ち」

共謀罪

2020年の東京オリンピック開催を前にして、共謀罪の構成要件を改めたテロ等準備罪の新設についてしばしば議論されています。共謀罪と他の犯罪で異なる点はあるでしょうか。

一般的に犯罪は、何らかの具体的な行為をして被害を生じさせた場合に成立します。例えば、他人のカバンを盗み、財産的な損害を生じさせた場合に窃盗罪(刑法235条)が成立します。

それに対し、共謀罪は何らかの犯罪の共謀それ自体を犯罪行為と評価するので、直接的に被害を生じさせる行為をしていない者に共謀罪は成立します。自分は全く動かなくとも「口を挟む」だけで処罰される可能性があるということです。

上司のような立場の者が、部下のような立場の者に指揮命令をして第三者にケガを負わせたり、財物を奪わせた場合、指揮命令をした者も共謀者として重く処罰することは必要なことだと考えます。(そうしなければ、犯罪組織の「トカゲのしっぽ切り」を防ぐことはできないと思います。)

しかし、共謀したとされる者が犯罪の実行行為者より下の立場であったり、ただ犯罪計画に賛同したのみであった場合、そのような者にどのような刑罰を科すべきかは難しい問題だと思います。

なお、現行法でも、正犯を唆して犯罪を実行させた者(正犯に犯罪を行うよう働きかけて実行させた者)は「教唆犯」、正犯を幇助した者(物理的・心理的に正犯の手助けして実行行為を容易にした者)は「幇助犯」として、処罰される可能性があるので注意が必要です(刑法61・62条)。

また、殴り合いのケンカが行われている現場で「やれっ!やれっ!」など叫んではやし立てたりすると、現場助勢罪(刑法206条 1年以下の懲役又は10万円以下の罰金もしくは科料)が成立する可能性があります。

そもそもそのようなことは絶対にしませんが、あまり面白がって人を煽ったりしないよう気を付けたいと思います。

弁護士 天野広太郎[2017/05/12]

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