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弁護士ブログ-「縁の下の力持ち」

地毛証明書

残念ながらGWも終わってしまいましたので、今日からまた頑張りたいと思います。

都立高校の中には、高校入学時に髪を染めたりパーマをかけていないかを調べるため、一部の生徒に地毛証明書を提出させているところがあるそうです。このような都立高校の行為は法的に問題はないのでしょうか。

パーマをかけるなど校則違反をした高校生の退学勧告の適否が争われた判例として、所謂 修徳高校パーマ退学事件(最判平成8年7月18日)があります。

事件の概要:私立高校女子部の生徒である原告が、普通自動車運転免許の取得を制限し、パーマをかけることを禁止する校則に違反したこと等を理由として、自主的に退学するように勧告されたため、原告は同勧告に従って退学届を提出しました。その後、原告は、学園と校長に対し、同勧告が違法かつ無効であるとして、卒業認定と卒業証書の授与等を求めました。

最高裁は以下の理由により、原告の請求を棄却しました。

棄却の理由:清潔かつ質素で流行を追うことなく華美に流されない態度を保持することを教育方針とする私立高校が、交通事故から生徒の生命身体を守り、非行化を防止し、もって勉学に専念する時間を確保するため、運転免許の取得を制限する校則を設け、また高校生にふさわしい髪型を維持し、非行を防止するためにパーマをかけることを禁止する校則を設けたとしても、同校則は社会通念上不合理なものとはいえず、民法1条(民法の基本原則)、同90条(公序良俗)に違反するものとはいえない。学校が校則に違反して普通自動車運転免許を取得し、パーマをかける等した生徒に自主退学を勧告したとしても、度重なる注意にもかかわらず校則違反を繰り返した生徒の態度、違反発覚後も反省がみられないこと、平素の行状、従前の学校の指導及び措置、自主退学勧告に至る経緯等を勘案すれば、自主退学勧告に違法性があるとはいえない。

上記判決からすれば、都立高校が地毛証明書の提出を求める行為は許されるとも考えられますが、最高裁の事案は自律的な自治も広く認められるべき「私立」高校の校則が問題となっている点に注意が必要です。また、地毛証明書の提出を拒否した場合、生徒にどの程度の不利益が生じるのか(入学自体を拒否されるのか等)も違法性の判断においては重要になると思います。

社会人になれば髪型や髪色が制限されることが多いので、学生にとって髪型の自由は重要な権利なのかもしれません。

弁護士 天野広太郎[2017/05/08]

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