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弁護士ブログ-「縁の下の力持ち」

仮眠と労働時間

5月17日、警備会社に勤める男性社員が「仮眠は労働時間に当たる」などと主張して未払い残業代などの支払いを求めた訴訟において、千葉地裁は原告の請求をほぼ認め、会社に未払い残業代と付加金の合計約180万円を支払うよう命じる判決が下されたとのことです。

労働基準法32条の労働時間にあたるかどうかの判断基準について、最高裁は以下のように判示しています。

三菱重工長崎造船所事件(最判 平成12年3月9日):労働基準法・・32条の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない

その後の裁判例についても、上記判示を前提として労働時間にあたるかどうかの判断がなされています。(例)仮眠時間と休憩時間が労働時間にあたるか争われた大星ビル管理事件(最判 平成14年2月28日)

仮眠時間であっても、使用者から仮眠場所を指定され緊急時に何らかの対応を行うことを命じられている場合には、客観的に使用者の指揮命令下に置かれいる時間(労働時間)であると判断される可能性があります。

また、休憩時間であっても同様に、電話番を命じられるなどしている場合には、客観的に指揮命令下に置かれている時間(労働時間)であると判断される場合があります。

近年、未払い賃金に関する紛争が頻繁にニュースになっています。労働時間に応じた賃金を請求することは労働者に認められた当然の権利ですので、自分の労働時間や賃金について疑問を感じている方は一度ご相談に来ていただければと思います。

弁護士 天野広太郎[2017/05/18]

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